東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
お盆休み期間は、多くの人が、久しぶりに会う親族と過ごす時期です。
親戚の男性が、さまざまなお箸がある中から選ぶ時に、黒いお箸を選ぶのに気づきました。そのことを話題にした時に、あ、私もそう思っていた、と女性同士で話したことでした。そして、自分のことを振り返ってみると、赤、オレンジ、黒などのお箸がある時に、暖色系のお箸を選んでいて、彼女も「私も、私も!」と言っていました。黒いお箸は選ばないのです。
夫婦茶碗(めおとぢゃわん)、夫婦箸(めおとばし)というものがあります。大きい茶碗、長い箸は青や黒。小さい、あるいは短い方は赤やピンク。これは日本人にとっては、常識です。女性だからといって赤が好きとは限らないのに。
弟は、子供の頃、色が白いので赤い服が似合うと、母の意向で赤いシャツなどを着させられていたのですが、学校に行って「女の色」と言われて着るのを嫌がるようになりました。
「男の色」「女の色」。そして、「女の色」「男の色」という順でもなく。
かつて、小学生のランドセルは、男児は黒、女児は赤でした。今は、女の子たちも、水色、茶色など、思い思いのランドセルを背負っています。本当にいいことだと思います。
私は昭和の人間ですが、「女の子だから」という考えに抗ってきたはずです。けれども、お箸を選ぶ時には、知らず知らず赤を選んでいたのでした。
染み付いているのです。剥がさなくちゃ。