東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
画像を探すのに「電車 読書」と入れると、スマホやタブレットを見ている学生・若者、本を読んでいるおじいさん、などという画像ばかりが引っかかります。
読書は、老人のものになってしまったのでしょうか。
電車の中で、何をしているのかと周囲を見回すと、音楽を聴く人、動画を見る人、ゲームをしている人…。かつて電車の風景は、新聞を読む、漫画を読む、なんとなく外を眺める、という具合でした。
今、人々は、ぼんやり過ごす時間がなくなってしまったかのようです。
本は古い時代のものなのでしょうか。
違います。
本を作るには、長い時間を要します。リアルタイムで情報が流れるネットとは違うところです。
生産という観点から見ると、実に、ネットの情報は垂れ流しです。質の高いものも、もちろんありますが、多くは、誤字脱字もそのままに、何を言いたいのか理解できないような、断片ともいうべき文章が日々生産されています。
今回、ここで考えたいのは文章の質です。まず、多くの場合、誰でも本を出版できるわけではありません。また、著者が書いたものがすぐに活字となるのではなく、著者自身による度重なる推敲に加え、複数の人の目で何度も文章はチェックされます。内容の正しさ、適切な語彙、誤解を招きそうな表現、句読点などなど。つまり、書籍になったものは、完成度が高いのです。それは、銀河の星ほど量産される多くのネットの記事とは一線を画すものです。
私たちは、読みながら、語彙を学び、表現を学び、構成を学んでいます。身につけようとして読んでいるのではありません。読んでいるうちに、それが血となり肉となるのです。
だから、完成度の高い本をこそ読んで欲しいのです。
ということで、インプットにふさわしいものとして、書籍をお勧めします。
電車に乗る時には、本を1冊携帯しましょうよ。