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使える読解力とは

東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。

 

 

PISA(OECD生徒の学習到達度調査)の定義では、読解力とは、「 自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達 させ、社会に参加するために、テキストを理解し、 利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。 」(文部科学省・国立教育政策研究所)となっています。

国語の読解問題というと、「『それ』は何ですか」「〜であることはどこからわかりますか」「〜であることの例はなんですか」のようなものが多いように思います。けれども、大学生の生活を考えてみても、「正確に読めること」だけでは足りないと言わざるをえません。

つまり、テキストを読むことにとどまるのではなく、読み手がどのように受け止め、どのように利用するのか、という、読んだ後が重要となるわけです。その点、PISAの読解力の定義は、非常に妥当だということになります。

同じく、国立教育政策研究所によれば、日本人の生徒の弱点としてあげられているのは、「テキストから情報を探し出 す問題」「テキストの質と信ぴょう性を評価する問題」であり、「自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明 すること」が苦手であるとされています。

国語の点数が良かったとしても、読解力がないと判断されることがあるわけです。

この乖離を重く捉える必要があるのではないでしょうか。

 

正確に読めるだけでは足りない
正確に読めるだけでは足りない