東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
高校、大学と書かされてきたものは、おそらく、客観的という立場が重視されてきたろうと思います。
けれども、ESは、明らかに主張するタイプの文章です。自分がどんな人物であるのかを見せなければならない。もちろん、その主張の仕方には、なかなか厄介なルールがあって、直接的なアピールはできません。
いわゆる強調というのとは違って、この語彙を、この表現を効かせる、相手の印象に残るフレーズを明確に見せる、という感じでしょうか。
これは、奨学金の志望動機や、AO入試の場合も同様で、この、特定の語や表現を見せるということが効果的にできないと、アピールはできないと感じます。
ところが、これが、日本人学生にとっても、難しいのですね。「客観的に」「アピールする」という、一見矛盾したことを成し遂げる必要があるわけです。
学校教育の中では、実際問題として、入試で点数が取れるかということがゴールになりがちで、書くことはどうしてもしても二の次三の次となってしまい、これまでに、どう書くべきかはほとんど問題にされてこなかったというのが現状のように見受けられます。
加えて、「アピール」という要素。
けれども、このスキルを身につけなければ、人生の扉が開かないということにも目を向けるべきだろうと思います。