東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
日経新聞によると、この10年間で、書店数は3割減少しているといいます。
日本の人口減少に加え、当然のことながら、インターネットの普及が原因です。普段、私自身も、本代を安くあげようと、フリマで見つけては安く買い、手っ取り早さから、ネットで注文しています。頭の隅では、ダメだ、これじゃ、本屋さんがなくなってしまう、と思いつつ、目先の金額にとらわれているありさま。
もはや、紙の本を読む必要はないという意見も多いでしょう。確かに、電子書籍の方が場所も取らないということはありそうです。けれども、出版数が減ることは本という文化の衰退につながることであると思うのです。古い世代だからでしょうか。
また、書籍や書店が消えていくことに対して、危機感を覚えています。かつて、自分の書いたものを活字にできるのは、特別なことでした。特権階級だったといえるでしょう。けれども、今や、誰でも、思っていることを発信できる時代です。それは、悪いことではありませんが、全体として、ネットの記事は大変質が低いと言わざるをえません。誤字脱字、ねじれ文はもちろんのこと、内容も、事実に反するもの、ヘイトなどなどです。
もちろん、書籍もさまざまではあるものの、なんといっても、店頭に並ぶまでに、かかわる人数、時間のかけ方は、勝手に発信できる類のものとは本質的に異なり、だからこそ、ある程度の内容も保証されているといえます。書き手も、出版社も、大きな責任を自覚した上での仕事です。分量としても、数分で読めるような軽いものではありませんね。
ネットの記事は、信頼できないものが多いことを忘れてはいけないだろうと思います。さらに、言語教育に立つ者としては、インプットとしての読む行為からすると、ネットの記事は文章の質が低い、ということを付け加えたいと思います。
本を読んでください。