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要約文を書く

東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。

 

天声人語の要約文を書いている春休みクラスがあります。

要約というと、学生は、皆が皆、一様に「具体例は省く」と答えるのですが、それはあながち間違いではないというものの、そうではなかったという例について書いてみたいと思います。

 

言わずと知れた、天声人語は朝日新聞の第1面を飾るコラムです。この新聞社の特徴として、現政権に批判的な目を向けるというものがあります。学生は、具体例は省くという鉄則(?)にのっとり、いくつか挙げられている例を省きました。

ところが、天声人語の場合は、政治に対する批判という姿勢があるため、この具体例こそが大事で、省略できないものだったのです。こんなこともあった、あんなこともあった、だから…といった流れです。具体例が重要です。

 

けれども、これは、このコラムに限ったことでもないでしょう。

具体例、事例は、主張を裏付ける根拠ともなるものでもあります。根拠であるがゆえに、3つ4つある例を省くわけにはいきませんでした。

この場合、さらに文字数を減らすとしても、1つ2つの具体例は残すべきでしょう。

筆者の主張、意図といったものから考えてみましょう。

要約の際に舞台れいは省くとはいうものの…
要約の際に舞台れいは省くとはいうものの…