東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
私が大学1年生になった時、必修クラスの英語の先生がおっしゃったことを、今でも、この季節に思い出します。
「皆さん、ご入学おめでとうございます。入学で希望を胸に抱いている人がいる一方で、もしかしたら、希望しない大学に入学することになった人もいるかもしれません。」
という言葉で始まり、偏差値で輪切りにされ、不本意な入学となった学生に対して共感を示しつつも、それでも、自分の軸というものを持つならば(当時、軸という言い方はなかった)、自分の未来を切り拓いて行ける、というようなエールでした。新入学の学生、希望に輝く学生、入学したものの鬱々とした学生に対して、実に的を射た、心に染みるメッセージでした。
実際、私は、おめでとうの言葉を苦々しく思う鬱々組だったのですが、シャッキリ立ち直らせてくれる言葉だったように思います。当時、大学はモラトリアムと言われ、社会に出るまでの4年間を思い切り遊んで過ごす、という人が多い時代でした。
今の私は、教員として、大学生、院生に対して、授業時間外もしっかりと勉強することを求めるわけですが、当時の学生は、一部の人を除いて真剣に勉強する人は少なかったのです。
どんな環境にいても、何かを見つけることはできます。けれども、何かを見つけようとしていなければ、何もしないまま、あっさりと4年間は過ぎていきます。
もちろん、不本意だということならば、やり直しもいいと思います。
一方で、与えられた時間、与えられた環境に感謝することも大事かなと思います。
入学、おめでとう!