東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
ほとんど喋れない留学生が、単位を取り、卒業していくことをどう考えるべきか。大学というところは何をするところなのか、という問題です。
ずいぶん昔のことですが、工学部では数式が言語みたいなものだから、日本語ができる必要がない、と日本人の教員に言われたことがあります。今や、日本で就職をしたい留学生が多い時代なので、それはあまりにも極論だと思いますが、実は、文系の学生でも、その場にいるだけ、という留学生が単位を取って卒業していきます。とりあえず、何か書くことは必要なのでしょうけれど、話すことは要求されていない様子です。
講義形式の授業ならともかく、ゼミのような場で黙って過ごすということはあり得ないことです。留学生だからしょうがないというお目こぼしもあるのでしょうけれど、それで単位を、学位を与えられてしまうことに大きな疑問を感じます。
米国留学した日本人でも、日本人コミュニティから出ることなく、英語ができるようにならないまま帰国する人がいますが、大きな成長の機会を捨てているとしか思えません。
留学で得ることができるのは単位や学位以上のものです。
話せたら楽しいよ、多くの可能性があるよ、ということを伝えたいです。