東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
優秀な留学生が、ちょっとしたことで日本の就活に引っかかっているのを見て、何とかならないかと思うようになったわけですが、本当のことを言えば、企業がぐいぐい要求してくるものを見て、納得のいかないことは多々あります。
私も、大学が、学問のための学問の場所であってはいけないと思います。つまり、この世と隔絶した場であってはいけない。けれども、職業訓練の場でもないということです。理系の多くは、社会と直結したものが多く、文系でも、一部にどのような分野はあります。けれども、それでは、文学や哲学、歴史が不要かといったら、それは違うと感じます。実学ではないのですが、これもなくてはならない、むしろ大学だからこそあるべき学問分野だと思うのです。
大学は、真偽を見極め、新しい事態に対応できる力を養うところなのではないかと愚考します。
ところが、卒業後の仕事を得ようと思うなら、3年生ぐらいから、否応なしに就活スケジュールに巻き込まれていき、さらに、そのための準備も早くから始まります。学費を払って大学で教育を受けているはずなのに、これは何なのだろう、という看過できない事態になっているのです。企業が学費を払ってくれているのなら、仕方がないですけれどね。
就活を考えて部活をやる、部長を目指す、早いうちからガクチカを「作る」…
大学時代、何かに真面目に取り組み、有意義に過ごし、エンジョイした人が、今後を生きる力を得られるのですから、企業には、それを評価してもらいたいものです。そんな当たり前の取り組みに逆行するようにして、就活のために大学生活を削らないでもらいたいのです。
年々スケジュールが早まっていく様子に、腹立たしさを禁じ得ません。