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就活生にとっての大企業と中小企業

大企業と中小企業 就職するならどっち?

外国人材を日本社会に送ることを使命としている、日本語のタネ代表の糸川優です。

今日は、皆さんにとって、興味のある大企業と中小企業について、データをもとに見ていきましょう。

 

大企業・中小企業それぞれの特徴を理解して自分に合う企業を選ぼう
大企業・中小企業それぞれの特徴を理解して自分に合う企業を選ぼう

目次

大企業・中小企業の定義、実数

賃金格差はある

中小企業の休暇取得率は高いが、大企業には多様な休暇制度がある

中途採用と定着度

総括

 

大企業・中小企業の定義、実数

 

厚生労働省の定義によると、「「大企業」とは、企業規模1,000人以上の企業、「中小企業」とは5-999人の企業」を指します。

中小企業庁のデータ(2006年)によると、企業数は、大企業が約1.2万社 (0.3%)であるのに対し、中小企業は約419.8万社(99.7%)となっています。また、従業者数を見ると、大企業が約1,229万人(31%)、中小企業では約2,784万人(69%)と報告されています。

 

 

賃金格差はある

 

では、気になる年収の違いはどうでしょうか。

平均給与を企業規模別にみると、資本金2,000万円未満の株式会社においては

425万円(男子517万円、女子258万円)となっているのに対し、資本金10億円以上

の株式会社においては635万円(男子732万円、女子334万円)となっている。

(国税庁https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan1997/menu/04.htm)

という記載があります。

これを、差が大きいと見るか、小さいと見るか…?

今度は、20-24歳という若い世代に特化して、賃金を見てみましょう。

厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/dl/13.pdf)のチャートから以下の数字が見えます。

20-24歳男 大企業 227.4千円 対前年増減率1.9%       中小企業218.9 千円 対前年増減率3.2%

大企業を100とすると、中小企業は96.3 20-24歳女 大企業227.0千円 対前年増減率2.7%       中小企業214.3千円 対前年増減率2.5%

                        大企業を100とすると、94.4

女性にとって、中小企業の年収は、大企業に比べると、企業規模による差がいくぶん大きいということになるでしょうか。

 

 

中小企業の休暇取得率は高いが、大企業には多様な休暇制度がある

 

休暇については、少し意外な結果が出ています。

厚生労働省の令和5年就労条件総合調査の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaikyou.pdf)を見てみましょう。

まず、週所定労働時間については、ほとんど差がありません。そして、完全週休二日制を採用しているのは大企業が多めではありますが、実は、むしろ休日が多いのは、300-999人規模の企業だというのです。

年間休日総数も大企業、中小企業の差はほとんどありません。そして、休暇の平均取得率は、先ほどと同様に、300-999人規模の企業の方が数字が大きいのです。中小企業の方が休みやすいということになるでしょうか。制度として休暇が保証されていたとしても、取得率が低い、休みが取りにくいのであれば、無意味ですね。

ただ、ここから大企業の特徴としてあげられるのは、多様な働き方です。

法定休暇には、年次有給休暇のほか、産前・産後休暇、育児休業、介護休業、子の看護のための休暇等があります。それ以外に、休暇の制度としては、特別休暇制度というものがあり、夏季休暇、病気休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇、教育訓練休暇といったものが含まれています。この、特別休暇制度があるのは、1,000人以上の大企業が多いようです。また、フレックスタイム、勤務間インターバル制度の導入は大企業に軍配が上がります。大企業の中には、子供のPTAに参加するための休暇を設けているところもあります。

コロナ期、ポストコロナのリモートという勤務形態を見ても、多様な働き方が可能となっているのは、大企業だと言えそうです。

 

 

中途採用と定着度

 

中小企業は、中途採用に積極的です。

離職者を見てみると、中小企業を離職した人は、「会社の将来性」「給料」を理由としてあげていますが、35-59歳の離職者をみると、「給料」「労働条件」のほかに、会社都合の離職が多いと出ています。厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000532356.pdf)寄らば大樹の陰という言葉を思い浮かべます。

生え抜き社員(若年期に入職してそのまま同一企業に勤め続ける者)は、大卒では金融業、保険業が多く、高卒では製造業が多いのですが、医療・福祉の分野では、学歴に関わらず低い(厚生労働省)ということです。想像通りの結果と言えるのではないでしょうか。

金融業、保険業の大卒者は定着率が高いということになります。

 

 

総括

 

大企業は、概ね、

• 年収が高い

• 福利厚生・休暇制度が充実している

• 安定性、将来性がある

となり、この裏返しが中小企業です。

データで見た以外にも、大企業には転勤があり、人が多いために複雑な人間関係(派閥)などがあることもよく指摘されます。けれども、転勤はともかく、人間関係については、人が多いからストレスになるということは、当然ありますが、中小企業で人数が少ないから狭い人間関係の中で逃げ場がないということもありうるでしょう。人が集まれば問題は必ず起きてくるので、人間関係のストレスは企業規模による差とはならないと見るべきでしょう。

それぞれに特徴がありますので、最も目につく年収だけで選ぶのではなく、自分の働き方、自分の生き方を考えた上で、比較してみてはどうでしょうか。

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